酵母菌のはたらきと食生活

 おそらく教科書では「分解者」として扱われる菌類・細菌類ですが、命のつながりを維持する大切な役割を果たしているのは言うまでもありません。生物であれば酸素とか二酸化炭素、窒素の循環、気象の分野でも水などの地球循環のシステムを理解したり、生き物のつながりの全体像を把握することはとても重要なことだと思いますが、正直生徒はあまり興味がなさそうです。興味のない事はおそらく印象に残らないはずです。いつも繰り返し同じことを言っていますか、生徒の記憶に残る授業しなければいけないと思っています。特に身近な例としてイメージの構築がされやすいものを授業に組み込むべきだと私は思っています。

 

 今回も菌類のマイナスイメージを払拭するために、発酵にスポットを当てて授業を作ってみました。青カビ白カビ、麹、酒粕いろいろなものが考えられますが、確実にスーパーマーケット等で購入できるドライイーストで授業を組み立てます。イースト菌は糖を食料として呼吸、分解してエネルギーと水と二酸化炭素に変えます。この性質を使ってパンの発酵とジュースの発酵をさせようと思います。別にキリスト教徒ではありませんが、パンとぶどう酒が出来上がります。神様からのお恵み的な授業になると面白いですね。

 

 授業の流れはプリントの通りです。ドライイーストはぬるま湯につけるだけで活性化します。顕微鏡で見ると丸いつぶつぶが見えるだけですが、かわいく見えてきます。砂糖を入れて水でこねた小麦粉のまとまりを2つに千切り、片方にはぬるま湯で戻したドライイーストを練り込んでよく混ぜます。対照実験のため、同じ位の大きさにまとめて、湯煎をしつつ、濡れたタオルもしくは雑巾で蓋をして蒸し風呂状態でしばらく置きます。ぶどうジュースのほうも対照実験で片方にぬるま湯で戻したドライイーストを入れて、同じく湯煎につけて様子を見ます。

 

 ぶどうジュースのほうは試験管の中でぶくぶくと泡が立ってくるので容易に呼吸の様子を見ることができます。生きている感があります。しかもだんだんとぶどうジュースの匂いも変わってくるのでその違いも比較させてください。

 パンのほうは20分以上時間がかかるかと思います。対照実験の成果がわかるように分量はうまく調節をしてください。ちなみにある程度きちんとこねておかないとグルテンの生成が甘く、発生した二酸化炭素が漏れてしまいます。うまく膨らまなくて失敗したときにはそれが原因だと思ってくれればいいのかなと思います。

 反応があらかた終わったら、香りを嗅いでもらうとなんだか納得してくれます。パンはパン屋さんで香る独特の発酵臭がすると思います。ぶどうジュースのほうはお酒っぽい匂いが漂います。エタノールほどの匂いはしないと思いますが、明らかに最初嗅いだぶどうジュースの甘い匂いとは異なる不思議な香りがしてくるのです。その違いを考えさせると良いのではないかと思います。

 授業のまとめとして私が伝えたい事は、人類は生活を豊かにするために菌の性質をうまく利用することで自分たちの生活を豊かにしているということです。単純に知識の量を増やすのではなく、それをどのように活用するのかが求められている社会だと思います。なかなか気づきにくいものですが、我々人類が築き上げてきた文明とはそのような相互作用的な積み重ねが形になってできているものなのかなと思います。ちょっと長くなってしまいましたね。

イースト菌の実験-1.jpg