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骨と筋肉の仕組みを解明せよ!

~上腕筋モデル・手羽先の解剖~

 授業で説明した動物の運動の仕組みについて今日は手羽先を使った解剖実験で筋肉・骨・関節・骨髄など出来る限り確認をしていきます。

 この実験はいろいろなサイトに出ているので詳しくはそちらを参照ください。私は実験のコツをいくつか挙げておきます。

 

①生徒への演示実験については、骨付きもも肉を使い、ダイナミックに演示しましょう。 

②解剖用バサミがない場合は普通のハサミまたは安全カミソリで作業させましょう。

 特に皮、脂肪、筋膜の除去については安全カミソリが効果を発揮します。ただし生徒はカミソリの取り扱いに慣れていないので、十分に取扱いの注意をさせることがポイントとなります。安全指導を徹底して行いましょう。

 ③実験の解説のビデオを用意できればイメージがしやすいようです。YouTube

  にあがっている解剖実験の様子を見せると作業がスムーズに進みます。

 ④運動機能だけではなく、関節のなめらかさ、脱臼、間の断裂、骨折なども

  疑似体験させると、より自分事として考えるのではないかと思います。

  ちなみに手羽先の鮮度が大切かもしれません。生徒は思った以上に臭いに

  敏感です。

 ⑤ダイナミックな実験を目指すのであれば、丸鶏を購入することもありだと思

  います。ただ予算的な問題がありますので1話で充分かと思います。先日、

  業務スーパーで324円で販売されていました。おそらく卵を産み終えた後の

  鶏だと思われます。油分がほとんど抜けており、筋肉組織を見るのには理想

  的な感じです。なんとなくおじいちゃんやおばあちゃんをイメージしてしま

  いますが、それでも充分かと思います。研究授業などで活用されてはいかが

​  でしょうか?

手羽先の解剖.jpg

 煮干しの次に行っている本格的な解剖実習の始まりです。きっと食べたことのある素材だと思われるので子供の抵抗感はそんなにありません。ただ生の肉を触りたくないと言う生徒も少なからずいますので、使い捨てのゴム手袋等を用意しておくのがベターだと思われます。後は手が油汚れと臭いで結構嫌がる生徒もいますので、食器洗い用のいい香りのする洗剤を用意し、手洗いを徹底させています。中学生は「キモイ」「クサイ」「キタナイ」と言う刺激にとても敏感なので、最新の注意を払う必要があります。

 

 授業では、グループに1つもしくは2人に1つほどの手羽先を用意しておきます。スーパーの特売などで100グラム60円前後を購入の基準としていますが、必要な本数が多い場合には冷凍でも問題ないと思います。解凍する場合には少量の流水を当て続けることで結構鮮度良く、ドリップも抑えられた解凍ができます。めんどくさい場合には大きなボールや水槽などに水を張り、つけておいて構わないと思います。いずれにしても鮮度が命です。

 

 今回の観察実験の目的を伝え、実験の動画などを生徒に見せた後に、プリントの手順書を黙読。やることがハッキリしたら作業開始というように進めます。

 ※最重要ポイントは剃刀で手を切らないことです。安全カミソリとは言え、使い方を誤ると大出血しますので、抑える手を刃の先におかないことを徹底させてください。油でかなり滑りますので、包丁のようにカミソリを使うのではなく、引っ張りながら切ったり、あんこうの吊し切りのように皮と筋肉の間に刃先をやさしく当てていくようなイメージを伝えることができればうまくできると思います。

 個人的な思い込みかもしれませんが、最近は医療ドラマがたくさんあります。昔なら白い巨塔、今ならコードブルーなど手術をするシーンは子供にとってイメージしやすいものだとも思いますので、執刀医になりきったつもりで解剖実験をさせても良いかと思います。この後に続く鳥の頭の解剖や、眼球の豚の眼球の豚の眼球の観察、豚、鶏の心臓の解剖等も控えていますので、それぞれ専門医になったつもりでプリントを作成したり、目的を強調してもいいかもしれません。

 

 各筋組織は、それぞれ筋膜に覆われていることが多いので、カミソリを使わず、あえて手で咲いていくことでも十分に観察の目的を果たす事はできます。筋肉を切り刻むのではなく、分離させるようなイメージが必要だと思います。プリントに写真を載せて満足するののではなく、実際に教員側が見本を作っておく事が解剖実験のクオリティを高める要因だと思われます。怠けずに作ってみましょう。またどうしてもそーゆー時間がない場合については、1時間目の授業でうまくいった生徒の作品を見本として見せても良いでしょう。

 

 個人的なこだわりとして、腱の断裂、関節の脱臼、骨折の再現等も思いつきでやっていますが、生徒たちにとってはかなり衝撃的な体験のようです。

 腱を力ずくで引っ張っても、関節から剥離する事はかなり難しいと思います。その力のかけ方によっていかに丈夫であるかということも認識できると思います。

 関節の脱臼については、なめらかに運動する(動く方向)と間逆に力を加えるのですが、これについてもかなり無理をしなければうまくいきません。関節の構造や、腱のがっちりしたした結合によって、かなり無理やり力を加えなければできません。脱臼しそうでしない、あのギリギリな感覚は子供にとってドキドキ体験だと思います。骨折させたり脱臼させるようなことはやってはいけないことを本能的にわかると思います。

 骨折も同じで、かなりの力を加える必要があります。2本の骨のうち、橈骨はかなり丈夫で男の子でも苦戦するほど折るのが難しいです。手羽先から肉を剥ぎとり、脱臼させ、骨だけを取り出した上で机の角などを使い、一生懸命力を加えてようやく折れる位だと思います。骨折することがいかに大変なことなのかも十分にわかってくれると思います。また骨折させたときには骨の中から骨髄液が飛び散ります。雑巾などで包み、カバーをした上で折ることも配慮として必要だと思います。ワイシャツやジャージに飛び散った赤い骨髄をそのまま親に見せるときっとクレームが飛んできます。こちらも万全の配慮をしておきましょう。

この骨髄液を顕微鏡で見たことがあるのですが、正直うまく血球が見れません。脂肪がとても多く、染色液を使う必要性を感じますので、また別の機会で見せた方が良いかと思います。(心臓の観察の時など…。)

 

 前の時間で見せた割り箸とミラクルロケットで作った骨と筋肉モデルを改めて見直す良いきっかけとなりました。腕の1本の骨と前腕の日本の骨のつなぎ方を見事に割り箸で表現している先生もいらっしゃいます。また骨格標本に太い輪ゴムをつけて運動のメカニズムを再現している先生もいらっしゃるようです。いずれにしてもそれと筋肉が密接に骨と筋肉が密接に連携しあいながら我々の運動をつかさどっている事の素晴らしさを子供たちに伝えたいと思います。

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